戸籍法の一部を改正する法律が令和6年3月1日より施行されました。それにより、今まで以上にご自身で戸籍等を取得しやすくなりましたので、簡単に説明いたします。
今まで戸籍や除籍を取得するためには、本籍地の市区町村窓口に直接出向くか、郵送で手続きをする必要がありましたが、改正された戸籍法によって本籍地以外の市区町村役場の窓口でも戸籍・除籍が請求できるようになりました。またこれにより欲しい戸籍・除籍が全国各地にあっても1か所の市区町村の窓口でまとめて請求することも可能になりました。
特に相続手続で戸籍等を取得する機会が発生しますので、より手続がスムーズになることが予測されます。
広域交付についてはいくつか条件やルール、注意点があります。
①コンピュータ化されている戸籍や除籍が対象
平成6年に戸籍法が一部改正されたことにより、平成10年台後半以降より戸籍等はコンピュータ化が進められています。今回広域交付ができるのはこのコンピュータ化された戸籍等のみとなります。そのためそれ以前に作成された除籍や改正原戸籍は広域交付の対象外になるため、従来通り本籍地の市区町村窓口に出向いたり、郵送手続きをしたりする必要があります。
②取得できるのは全部事項証明書
これはいわゆる「謄本」は請求できますが、一部事項証明書や個人事項証明書である「抄本」は取得できない。ということになります。抄本を取得したい場合は、従来通りの請求方法になるため、注意しましょう。
③広域交付で戸籍等を請求できる人に限りがあること
広域交付で戸籍等を請求できるのは、
と定められています。
そのため兄弟相続等が発生し、兄弟やおじ・おば等の戸籍が必要になった場合は、従来通りの請求方法で戸籍・除籍を取得する必要があるので、注意しましょう。
④広域交付を利用するには、本人が窓口に行く必要があること
郵送手続きで戸籍等を取得する場合は従来通りの請求方法を取る必要があります。また委任状をもって代理人が広域交付を利用することもできませんので、ご注意ください。
当事務所でも相談にお越しいただくにあたり、事前に戸籍を取得いただきたい旨のご連絡を差し上げることがございますので、この制度を利用して取得もできる可能性がございます。制度についての詳しい説明については「法務省のお知らせ」をご確認くださいませ。
また自治体によって戸籍の広域交付については、窓口でかかる時間が長くなってしまったり、受付時間が短かったりと注意点等もあるようですので、実際に出向かれる自治体のHP等を事前に確認することをおすすめします。
この他にも自身の本籍地とお住まいの市区町村が異なる場合、マイナンバーカードを利用してコンビニ等の交付も可能ですが、こちらについては利用できる市区町村や発行できる証明書が異なりますので、事前確認が必要になります。
詳しくは「こちら」をご確認くださいませ。
今後も戸籍制度はより便利に使いやすくなる予定です。より現代の社会生活に寄り添った制度・手続方法になっていくことを願うばかりです。