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特別寄与料と相続税

相続税

平成元年7月より、相続人以外の親族が療養看護など、被相続人に対する寄与行為を行った場合に、その寄与に応じた金銭を相続人に請求できることになりました。

これが特別の寄与の制度で、ここで取得する金銭を特別寄与料といいます。(制度の詳細は 特別の寄与 をご参照ください。)

特別寄与料は相続人との協議により定められ、経済的に遺産の取得に近い性質を有するものであるため相続税課税の対象とされ、取得した親族は相続人と同様に相続税申告をする必要があります。
ここでは特別寄与料を取得した者の相続税課税につきご説明します。

1. 相続税申告納税義務

特別寄与料を取得した者(特別寄与者)は、遺言書により財産を取得する受遺者と同様に遺贈により財産を取得したものとみなされ、相続税が課税されます(改正相続税法4条2項)。
申告・納税の期限は特別寄与料の金額が決定した日の翌日から10ヶ月以内となります(同29条1項)。

2. 相続税額の2割加算

相続税の計算方法については相続人との違いは基本的にありませんが、特別寄与者が被相続人の一親等の血族ないし配偶者でない場合は、その相続税額が2割加算の対象となり、算出される税額の20%相当額を加算した金額を納付する必要があります。

3. 相続人の債務控除

特別寄与料は相続税の計算上財産に含められますが、その反面、これを支払った相続人は、自身の取得する財産から当該特別寄与料を債務控除として引くことができます(改正相続税法13条4項)。
また、もし相続税申告を提出した後に特別寄与料が決定された場合、これを支払った相続人はその翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行い、払い過ぎた相続税の還付を受けることになります(同32条1項7号)。

この特別寄与料を請求し取得した親族にとりましては、報酬を後になってまとめて受領したという感覚だと思いますが、これは上述のとおり相続税の対象となりますのでお気を付けください。